2022.04.13[WED]
ストーリーのプロローグを一部先行公開
――深夜
歌舞輝町
コンビニエンスストア
[輿水 直]
ねえ、あんた……本気でオレのこと、殺す気?
[コンビニ店長]
そんな目をしてもムダだ。
――弁当はやらないぞ。
[輿水 直]
いいじゃん、賞味期限切れのやつくらい!
三日もまともに食べてなくてぺこぺこなんだ!
[コンビニ店長]
だから、管理問題になるって言ってるだろ?
何も買わないなら出てけ!
[結城 怜二]
てんちょー、ポットの湯、切れてるわ。
[コンビニ店長]
あ、すみません!
すぐにお湯を足しますんで!
[輿水 直]
ちぇ、ほかのお客には全然態度違う……。
お金ないと、ニンゲン扱いもされないんだ。
てか、あのヒトのカップ麺、
『特濃ミルク青汁ラーメン』ってエグくない!?
[結城 怜二]
――何。
興味あんなら、ひとくち食う?
[輿水 直]
えっ……。
ほ、ほしいとか、別に言ってないし!
[結城 怜二]
そ?
お湯どーもなー、てんちょー。
[店長]
ありがとうございましたー。
ほら、お前も!
[輿水 直]
わっ、押すなって!
//歌舞輝町一番街アーチ前
[輿水 直]
はーあ……。
まじでアイもキボーもないじゃん、この街!
[結城 怜二]
……はは。
[輿水 直]
……っ、笑うなオッサン!
[結城 怜二]
わりーわりー。
同意だわって思ってさ。
[輿水 直]
え……?
//車が走ってくる音
[ふたり]
!?
[輿水 直]
え、うそ、やばいやばいやばい、あの車……っ、
女の人に突っ込んでく……!
[結城 怜二]
………!
――5分前
歌舞輝町 路上
[ヒロイン]
はぁ……っ、はぁ……!
私は残る体力をふりしぼり、
ネオンに染まる街を
全力で走っていた。
(絶対、逃げ切らないと)
記憶に刻み込んで盗み出した
この重要機密を
届けないとならない。
追手に捕まれば――死あるのみ。
(役に立てないのなら、私は)